五十嵐です。
野球がオフシーズンに入ると「冬場に体育館でできるトレーニングを教えてほしい」と学童野球チームなどからお話をいただきます。
普段、高校生にはウエイトトレーニングが中心の指導になるのですが、学童チームの場合は指導内容が異なります。
私が学童野球チームを指導する時に大切にしていることがあります。
それは、
・体の使い方
・監督・コーチ・父母のみなさまに伝える
ことです。

※写真は中学生を対象にしたトレーニング講習の様子
体の使い方
体の使い方とは、股関節、肩関節・肩甲骨、背骨など、どのスポーツにも大切になる関節を上手く使うことです。
高校野球チームで指導していると、これらの関節を上手く使えない選手がいます。
当然、動きが低下すれば、パフォーマンス低下や故障の原因になります。
私の役割は、
・故障のリスクを減らし、野球楽しんで続けてもらうこと
・トレーニング(筋トレも含め)で、野球の練習に耐えれる体を作ること
です。
なぜなら、野球が上手くなるには野球の練習をするしかないからです。
どんなに才能があっても、故障が多く練習を積むことができなければ、野球は上手くなりません。
逆に、才能に恵まれなくても、故障しない体があれば練習を積むことができ、野球が上手くなります。
私は治療の現場でも、このような選手を多く見てきました。
野球が上手くなるには「故障しにくい体」を持つことです。
そして、私ができることは、故障しにくい体を作るお手伝いです。
監督・コーチ・父母のみなさまに伝える
私が小学生チームを教えるとき心がけていることは、監督・コーチ・父母のみなさまにも伝えることです。
私が指導することは魔法のように1回でどうにかなるものではありません。
ほとんどが継続して初めて効果があるものです。
小さなことを継続し、成果を上げる喜びを感じることは、私生活においても大切な事です。
物事を継続する習慣を野球を通して身につけ、成長してほしいと考えています。
そのためには、普段から選手に接している、監督・コーチ(父母)のみなさまの協力が必要になるからです。
指導内容
11月に、ある学童野球チームより依頼を受けました。
昨年に続き2回目なのですが、今回は背骨の動きを中心に指導してきました。
背骨
普段高校生を見ていると、背中の動きが低下している選手が多いです。
背中の動きには背骨が関係するのですが、その背骨を専門的には胸椎(きょうつい)と呼びます。

上の図のように、背骨は首から腰まで椎骨(ついこつ)という小さな骨が24個積み重なって構成されていて、矢印の間(12個)が胸椎(きょうつい)と呼ばれる部分です。
そして、この胸椎には肋骨がついています。

この肋骨と胸椎、そして前方につく胸骨(きょうこつ)によって胸郭を構成します。
その胸郭の背中側で動く骨が、みなさんご存知の肩甲骨(けんこうこつ)です。
肩甲骨にとって背中はグランドです。
人がグランドコンディションが悪ければ走りにくいのと同じで、背中が動きが悪いと肩甲骨もスムーズに動きません。
肩甲骨の動きが悪ければ、肩関節の動きも悪くなってしまいます。
※肩甲骨と肩関節の関係については、また後日
胸椎(きょうつい)の動き
小学生の胸椎の動きを見ましたが、やはり高校生に比べると動きがいいです。
どんな動きがいいのかお話します。
動きを簡単に説明すると、胸を張ったり、背中を捻じったりする動作です。
専門的には、胸を張る動作を胸椎の伸展、背中を捻じる動作を胸椎の回旋と呼びます。
これらの動作には個人差はありますが、小学生より中学生、中学生より高校生という感じで、年齢が増すにつれ動きが低下する傾向がみれます。
野球と胸椎
胸椎の動きと野球動作の関係を簡単に説明します。
胸椎の伸展
是非、ユーチューブなどで、プロ野球投手の投球動作をみてほしいのですが、プロの投球動作を見ると胸を大きく張れています(胸椎の伸展)。
詳しい説明は、専門用語が多くなるので控えますが、胸椎の伸展は、投球時の肩関節動きに関与し、肩関節の負担を軽減します。
胸椎の回旋
胸椎の下には※腰椎(ようつい)が5個つながっているのですが、この腰椎は、捻じる可動域が狭く、胸椎の3分の1しか動きません。
※腰椎=腰骨
よく、バッティングで腰を回せと耳にしますが、実際には腰椎は少ししか捻じれなく、捻じれているのは胸椎になります。
もし、胸椎に柔軟性がなく十分に回旋しなければ、その代償運動(負担)は回旋動作に乏しい腰椎がおこなうことになります。
結果、スイングするたびに、腰椎に負担がかかり、腰痛になるケースが増えます。
先日、中学生に指導を行いましたが、「腰が痛い人?」と質問すると約20人中5人手をあげました。
ちなみに、学童の選手は約30人いましたが0人でした。
私は、野球で腰を痛める原因の1つに、胸椎回旋不足も関係してると考えています。
小学生に胸椎の動きを取り入れる理由
この文章を読んでいて、「なぜ、胸椎の柔軟性のある小学生に、胸椎の動きをだす運動を指導するのか?」と疑問に思った方もいると思います。
理由は、先程少しふれたように、年齢が増すにつれ胸椎の柔軟性を失うからです。
胸椎の動きに関心がなかったり、今、柔軟性があるからと安心していると、中学、高校で胸椎の動きが低下し、野球のパフォーマンス低下と故障の原因になります。
さらに、動きが低下したものを動きやすくするのは時間がかかります。
将来を見据え、今から取り組むことが大切です。
ありがたいことに、年明けにも同チームより依頼を受けました。
次回は、股関節の動きを中心にしようと思っています。
トレーニングのご依頼について
チームの人数や能力、監督さんの考える強化したいことなどをお聞きしてから、それぞれにあわせたトレーニングメニューをご用意します。
まずはご相談ください。